美味しいもの日記


以前書いたものです。結構長いです。覚悟してお読みください。

 

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<朱夏・10月某日>

・揚げぎょうざのスープ添え
・点心三種盛り合わせ
・鳥のから揚げ薬味添え
・かに玉
・中華風おかゆ
・自家製杏仁豆腐

 今日は私のお誕生日である。
もうめでたいとかそーゆーことはないのだが、夜、仕事場に友人が3人来てくれたので、
夕ごはんをみんなで食べることにする。

 最近風邪気味でなんとなく体調が悪いので、景気付けに本格カレーでも食べたいっす!と
勇んでいつも行くお店「カシミール」へと向かうが、なんとお休み。
 おなか空いたよ〜、どっかいいところない?と聞くと「中華料理屋があるぞ」ということになって、
近くの「朱夏」へ行った。

 もう20:30近かったけど、幸いラストオーダーは21:30なので、いい感じで間に合った。
店内にはカップルが2、3組。ラーメンを食べている人たちが多い。
 そういえば、ここはタウン誌なんかで見かけたりしたことあるなぁ、と思いながら
みんなでメニューを見る。

 「うーん、定食セットがあるけど、せっかく4人いるから、この6000円のコースでも頼む?」
 「そうする?そいでごはん頼んでさ」
 「そうだねぇ・・・ちょっと待って、この飲茶コースって、そんなに値段が変わんないからこれにしない?」
 「おお、それ結構いいみたいだね。じゃ、それにしよう」
 「わーい、飲茶だー!」

 てなわけで、飲茶コースを頼んで中国茶も頼む。
ジャスミンティーが二人にプーアール茶、あと冷たいウーロン茶。
温かいお茶はおかわり自由なのがうれしい。
 だらだらとお茶を飲みながらしゃべくっていると、いよいよ飲茶が来た。

 

揚げぎょうざのスープ添え

 

 ゴージャスな鶏ガラ味のスープで、この辺にしては珍しく薄味。
全員が「今度来るときには絶対にラーメン食ってやる」と心に固く誓うほどであった。
ううむ、あるじはいい仕事をしている。←(死語)
 ぎょうざもとじ目が大変に芸術的なすばらしいものだった。
とじた一辺はちいさな縄がくっついているような感じで、こんなとじ方は初めて見た。

 皮はうすいパイ皮のような感じだが、箸ではさむとしっかりとしている。
「はもん」とほおばると、中身はとろりとして絶品。
 しいたけやお肉がうまみを保ったままでスープと混ざり合っていく。
 とろみがついていてなかなか冷めないので、口の中を気前よくやけどしながらみんな夢中で食べていた。
おいしいものはすべてに打ち勝つ、と実感しながら負けずに一所懸命に頬張ってしまった。

 

点心三種盛り合わせ

 

 えびぎょうざ二つと肉ぎょうざ、シュウマイ。
これがキャベツの上に乗っかって、ちいさなせいろに入ってきた。
 みんなきれいに気合を入れてめかしこんでいるような感じ。
まるで「今日は合コンだから、ちょっとだけ本気だしてみよっかな」って感じのOLみたいである。
 大きさは、「女の人は、一口ではやめといたほうが。」なサイズ。

 さて、特筆すべきはぎょうざ二種のそのたたずまいである。

 イッセイミヤケのプリーツではないが、ものすごくうつくしいひだが寄っている。
 人間の仕事って、すごぉい。
 口に入れたら消えてしまうものなのに、こんなにきれいに作ってしまうのは、
いったい何故なのだろう。
 湯気の立つぎょうざを熱い視線で見つめてしまう。気高いぎょうざ様だ。

 あまりにもきれいなので、いっぱつで食った。
も、もしかしたら破壊衝動があるのかもしれない。あぶない。

 

鳥のから揚げ薬味添え

 

 ここで空腹に有功な油もの登場。
 どぉんという感じで大皿にてんこもりのから揚げであります。
 普通サイズのものを半分に切ってあって、お醤油ベースのたれがかかってる。
から揚げの下には野菜の千切りとレモンのスライスが敷いてあった。
 から揚げは食べた後結構もたれるぞ、と思ったが、さにあらず。
胸焼けしないで美味しくいただきました。あっという間にお皿はからっぽ。

 

かに玉

 

 本来は「豆腐のかにあんかけ」らしいが、たまたま豆腐が品切れだったので、
今回はかに玉と相成った。
 ふんわりした卵にかにがしっかり入っていて、あんも上品でした。
お友達の一人は「かに玉って、表面が固かったりするから嫌いだったんだけど、
ここのはふわっとしていて、あんもおいしい!」と言ってました。
 いやはや、うまいかに玉を久々に食べました。

 

大根餅

 

 これは運ばれてきてから「わー、これも食べられるんだー!」と
私が大変喜んだ一品である(メニューを見ていない証拠であろう)。
 一同その様子を冷ややかに見ていたが、口に入れて喜んでもらえた。
 これにはとうがらしのペーストみたいなものがついてきて、
それをつけると味がばしっとしまるのだ。
この調味料はあとで出てくるおかゆでも実にいい仕事をしてくれた。←(もうわかったって)

 大根餅はその名のとおり大根が主材料なのだが、
ほんとにお餅のような食感なのである。どうやってつくるのか、さっぱりわからない。

 ちなみに私は以前横浜の中華街に遊びに行ったときに食べたことがあり、
大変に美味しかったことを覚えている。
 確か台湾の料理と聞いたような記憶があるが、私のことだから当てにはならない。

 ともあれ、お醤油などの調味料が少しまぶさって、
ほのかについた焦げ目もりりしい大根餅は、大変においしかった。

 

中華風おかゆ

 

 「おかしい、なんか腹がふくれてきた・・・」とか何とか言いながら、
それでも必死に小さな陶器のおわんにくらいつく私たち。相当に食い意地が張っている。
最初のスープと同じだしで作ったおかゆだ。誰が残せようか。

そいでもって、具も充実している。えびあり、いかあり、チンゲンサイあり。
ねぎもにんじんもいるし、私の愛してやまないきくらげだって入ってる(みんな自分のおかゆの中からきくらげを一切れずつくれました。この事実だけでどれほど私がきくらげを好きかわかっていただけると思う)。

 びっくりしたのは、野菜が全部おいしいこと。歯ごたえを残しながらも、火はきちんと通ってる。
野菜の味がはっきりとわかるのだ。
 たかがおかゆなんだから煮こんでしまってもいいはずなのに、
そうはしないできちんと歯ざわりと味を残す。
 「くるしーよー、ひー」と泣き言をいいながら、全員あまさず平らげた。
残せるわけがないっす。

 

自家製杏仁豆腐

 

 全員「杏仁豆腐って、あんまり好きじゃない」という意見で一致していたが、
この杏仁豆腐を口に入れた瞬間、皆が黙々と口の中の感触を味わっていた。
市販の杏仁豆腐は結構ごりごりしていて、あんまりおいしいと思えないものが多い。
これは、違った。
口にするんと入り込み、舌を当てると「いやん。」という感じでくずれるのだ。
なんてこった、こんなに美味いなんて。
「御無体な〜」という趣でとけていく杏仁豆腐。もう気分は犯罪者である。
彩りと口直しをかねて入っている果物の角切り缶詰、そしてほのかに酸味を帯びた生のキウイ。
すっかり満タンになった胃袋にすべりこんでゆく。
それはこの世の極楽であった。

 

 帰り道、みなさん「深呼吸ができない」だの「ズボンのボタンでは足りなくて、
思わずファスナーを下げてしまった(急な検問があったらどうするつもりなのだろうか)」だの
「眠くなった」などといいながら、満ち足りた気分で家路についた。
また、食べにいくぞ!!

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