マクレディー理論の検証


ポーラーカーブを2次曲線で近似し、数式によりマクレディー理論を検証してみます。


ポーラーカーブをx,y座標で表し、

  

とする。(a,b,cは、機体固有の定数)

原点を通り、この曲線に接する直線(最良滑空比を示す直線)は、

  

で表され、最良滑空速度を表す、接点のx座標値(X1)は、

    ------式1

となる。(X1は正確には実際の飛行速度ではなく水平方向の速度です。)


次に、下の図でx=X1から右の領域にサーマルがあるものとし、X1より速い任意の速度(X2)で飛行し、
早くサーマルリフトに到着した後、残りの時間で(L m/s)の割合で上昇した場合の
最終的なy座標値(G)は、速度X2における沈下率をY2とすると、

  

で表される。(下図参照)



この式でGが極大となるX2を求めると、

    ------式2

を得る。(地道な計算過程は省略。)



 さて、数式が続きましたが最後に式2が得られました。この式の意味は、
L(m/s)という大きさのサーマルリフトがある場合に、限られた時間内で最も高く上昇するには、
リフトの無い空間を速度X2(m/s)で飛べば良いということです。
限られた時間で最も高く上昇できるということは、早く次のサーマルへ向かえますから結果的に最も早く目標に到達できることになります。

ところでこの式を前出の式1と比較すると、

    ------式1

    ------式2

式1の中の(c)の部分が、式2では(c−L)になっています。
定数cは、ポーラーカーブの頂点(最小沈下のポイント)のy座標値を表しています。
そこが式2ではc−Lに変わっており、二つの式のちがいは、そこだけです。

すると、式1の値(X1)は、基本的なポーラーカーブで最良滑空比になる速さを表しているのですから、
式2の値(X2)は、基本的なポーラーカーブをリフト(L)の値だけ下方にシフトした場合の、
最良滑空比になる速さを表していることになります。
これはマクレディー理論の考え方と一致していることになります。

式2はリフトの強さLと、それに対応した最適な飛行速度X2の関係を表していますから、
自分のポーラーカーブを確定するための定数a,b,cが判れば
それを代入して具体的なLとX2の関係式が確定し、
値は実際のフライトに使用できます。

式2を変形して、X2を横軸xに、リフトLを縦軸yに対応させれば、
式2は下式のようになり、これはマクレディー曲線そのものになります。

  

ちなみに上図に使っているポーラーカーブはある上級機のカーブですが、近似的な2次曲線は、
a= -0.015, b= -11.3, c= -0.95 くらいです。(値はすべてマイナス。単位は m/s)

以上。