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体重移動とは何なのか 「ハンググライダーのコントロールは、体重移動で行います」昔からそう言われており確かにそうなのですが、それは「空中では」そうなるということであって、地上では特に体重移動など考える必要はありません。ハンググライダーの左右のコントロールはもともと難しく考える必要はなく、単に傾けたい方向に力で機体を傾ける、それだけのことです。 
ただ気をつけるべき事は、機体の回転の中心はあなたの頭の上、コントロールバーの三角形のてっぺんの位置に有り、あなたはその回転中心より下の方を持っているという事です。その位置関係を意識し、常にコントロールバーのてっぺんを中心にして回すように力をかければ、効率よく間違いの無い操作になるでしょう。走りながらスイングラインで身体が吊られてきた状態でも、完全に足が地面から離れた状態でも、やはりコントロールは同じく頭上を中心に力で傾けるだけです。足が地面から離れた状態でバーに力をかけて機体を右に傾けようとすれば、それは必然的に身体を右に寄せることになります。それが結果的に体重移動という事です。 
空中ではバーを左右に押せば作用・反作用で必ず腰が移動しますから、逆に言えば傾けたい方へ腰を寄せることは確実に機体を傾ける力になり、空中では「コントロールは体重移動」だと言えます。しかし地上では体重移動はほとんど意味がありません。空中でも地上でも共通する大事な操作は、体重移動ではなく、頭上を中心に機体を傾けるようにバーに力を加えるということです。それさえわかっていれば機体を持って構えている時から斜面を走って空中に飛び出すまで、途切れることなく同じ感覚で左右のコントロールを続けられるでしょう。要はリジッド機をグランドハンドリングする操作ができればよいのです。もしあなたが左右のコントロールで悩んでいるなら、一度上級者が使っているリジッド機を持たせてもらって、その場で操作してみてください。リジッド機は機体を傾けるために補助翼などを動かす仕組みになっていて、それはコントロールバーを傾けることで連動して働きます。ただ動かすだけなので力は要らず、何をすれば仕組みが働いて機体が傾くかが明確にわかります。その操作、力をかける方向こそが重要であって、フレキシブル機においても操作の仕方はまったく同じです。ただフレキシブル機の場合は機体の反応が悪いため、傾ける力の強さと持続が必要なのです。 「ハンググライダーのコントロールは、体重移動で行います」 リジッド機に乗っている人にとっては、これはすでに死語です。彼らに聞けばただ「コントロールはバーを動かすだけです」と言うでしょう。練習機もいっそ早くそういう構造になってほしいものです。そうなればきっとハング初心者も一日で飛べるようになると思います。 2011/09 改 |