墨壺コレクション /Minimum type |
後ろの墨壺は比較のために置いた普通サイズの墨壺です。手前にあるのがメインの墨壺。ミニ墨壺です。珍しいモノです。作るのが難しく、職人の腕の見せ所といった作品です。もちろん実際には使えませんので、純粋にかざられるものとして作られました。これを作る職人さんは確かもういなくなったと思いましたが。
実は小さな墨壺を作る方が、大きなモノを作るよりかなり難しいのです。当然手間もかかります。値段も高いです。世間では一般的に「サイズの大きいモノに比べて小さいモノは安い」といったイメージがありますが、ことこれに関してはそうはいきません。墨壺の材料にはケヤキを使いますが、堅木のなかでも特に堅い材料です。それをこのサイズで彫るのですから、まず材料を押さえようがありません。一体どうやってこの小さなサイズを彫り上げるかというと...実は二つくっついた形状で彫刻します。この場合ですと、二つの墨壺のお尻どおしがくっついた状態で材料の木取りします。そのままの状態で全部完成させて、一番最後につながっているおしりを切り離して、形状を整えて完成です。それでも細工するには小さすぎるサイズです。職人さんも手間の割に値段にならず、また、怪我をしやすいため、製作にはかなりいやがられる墨壺です。