「日本家屋に学ぶ」
先日、私の母と長岡市大積折渡町と言う所で農業を営んでいる、ご主人の所に遊びに行きました。今ではあまり見なくなりましたがやぶき屋根の建物のおはなしをお聞きしました。
その御主人のお宅は築一00年以上経つ大きなかやぶき屋根の家です。そのたたずまいは、どっしりとしてとても存在感がありながら、周りの風景を乱すことなく田園、森林風景に溶け込み調和のとれた景観を作っております。玄関を入りますとすぐ囲炉裏があり、上を見上げると、木を丸ごと使ったような重厚な梁が組み合わされ、屋根の上まで見ることが出来ます。組み合わされていく梁のデザインは芸術的な美しさを感じました。昔は、梁はリサイクルされ使われていたと言う事です。屋根の上には通機構がありそこから囲炉裏の煙が出て行きます。煤で天井は真っ黒になっています。その煤が、木やかやにつく害虫を防ぐのだそうです。奥の部屋には大きな仏壇あり、外からその仏壇の場所を見ますと、その部分だけ、外壁が仏壇の幅だけ飛び出しています。それは、火事になったときに、外から仏壇を取り出せるようにそのような構造になっているのだそうです。折渡町は、今ではこのお宅一件しか残っていないそうです。御主人のお話によりますと、かやぶき屋根の家は、人が住まなくなってそのまま放置されていても、屋根からくずれ、かやぶきの屋根が堆肥になり、そこから草木が芽を出し、自然にその場所は森に帰るそうです。
私は、この古い日本家屋、ご主人のお話をお聞きして、そこには信仰の生活があったように感じました。今の季節、折渡町は御主人の植えたショウブの花でいっぱいになります。皆さんも是非、ちょうど今見ごろですので足を運んでみてはいかがでしょうか。
長岡市土合 慶徳寺副住職 金子 重典 合掌