「いのち」
お盆休みの最終日、海に行きました。シーズンはピークを過ぎ、海水浴場は落ち着いた雰囲気でした。日も傾き、まばらだった人もぽつぽつと帰り、浜辺には心地よい海の風が吹いていました。私は、海辺を散歩しました。波打ち際に小さな貝の破片が落ちているのに気づきました。座ってよく見ると、色鮮やかな貝の破片が沢山ありました。手にとってよく見ると、その一つ一つがとても鮮やかな色をしていました。波打ち際に打ち寄せられた多く貝の破片は、長い時間を掛け、自然に波に研磨され、その形、色はさまざまですが、それぞれがとても美しい色合いを出していました。
曹洞宗の修行道場に行きますと、大きなすりこぎが、柱に掛けられています。
「身を削り 人に尽くさんすりこぎの その味知れる 人ぞ尊し」
永平道元禅師様の御歌が解説されています。
御歌は、多くの命の存在があること、いろいろな環境で生きている人や鳥、獣などの多くの命の営みの存在、その尊さを示し、そして、その命に支えられ生活をしている私たちに、私たち自身のあり方を問うたお言葉だと思います。
喧騒の去ったシーズンオフの海水浴場で、貝の破片を見つけ気づかされたところであります。
長岡市 慶徳寺副住職 金子 重典 合掌