声明〜鶯の音色と共に〜 平成二十四年四月十九日
五泉市永谷寺 吉原東玄
朝、起きるとウグイスの鳴き声がとても心地よい。長い冬を越えて、ようやく春の到来である。生命の芽吹きである。新緑前の薄緑も目にとても優しく、全てが「やわらかい」世界であるのが、この季節。
○声明(しょうみょう)
日本のあらゆる音楽の原点である仏教音楽。仏典に節をつけたもので儀礼に用いられる宗教音楽である。日本では、梵唄(ぼんばい)・梵匿(ぼんのく)・魚山(ぎょざん)ともいう。
【定義】
@音声・言語に関する学問のことで、五明※の一。
@儀式に用いられる讃詠のこと。節を付けて経文や偈、或いは讃歎文などを読むこと。梵唄という。日本では平安時代頃に、真言宗と天台宗がこれを伝来し広まり、鎌倉時代以降には念仏や和讃が流行して、一般的になった。
※五明とは、古代インドでの、聲明(音韻学・文法学)・工巧明(工芸・技術論)・医方明(医学)・因明(倫理学)・内明(自己の宗旨の学問、仏教者の場合は仏教学)の五種類の学問分野を指す。
散 華 の 偈 (浄 道 場)=法要を行う場を浄める
散華荘厳遍十方 散衆宝華以為帳
散衆宝華遍十方 供養一切諸如来
○声明と日本の伝統音楽の関係性
平曲・謡曲、民謡、浄瑠璃などの音曲は声明の転化といえる。単旋律音楽に与えた影響が大きい