サクラダ・ファミリア
平成十四年十一月二十二日 加茂法話会
一、今から十六年前、憧れの建造物を観にバルセロナに行った。
聖家族教会(サクラダ・ファミリア)1882〜現在に至
名前の由来=社会を構成する最小単位が家族だとすれば、家族に平穏があってこそ社 会の平安が保たれる。そのため模範とすべきヨセフ、聖母マリアというイエスの家族(聖家族サクラダファミリア)をご本尊として教会の建築が始まった。
アントニ・ガウディ・イ・コルネ(1852〜1926) の建築
二、巨大な生き物のようなこのサクラダ・ファミリアは残念なことに着手から120年も経っているが、今世紀中の完成は望めないようである。しかしこの歳月に建築家アントニ・ガウディの精神が生きている。
三、若くして有名建築家ガウディは憧れの社交界にもデビューした。
しかし輝かしいはずの人生に活路を見出せなくなり、やがて引きこもって行く。
死を覚悟したガウディのベットサイドに一人の神父が訪れ、「自分の出きる事を只やるだけだ」と告げる。やがてガウディは信仰の中に身を投じる教会建築に着手する。
その教会がサクラダ・ファミリアである。建築家でありながらガウディは、教会の完成を目にすることより、多くの人が長きにわたって教会建築という信仰生活に携わることを思い図ったのである。
四、教会完成だけでなく、建築に携わることが既に信仰の目的を成すこのガウディの教 会建築プランは、修行と悟りは切り離すことは出来ない、目的は坐禅、手段も坐禅と いう道元禅師様の只管打坐の御教えに通ずるものであると今になって気付かされた。
* こうして仏法のご縁で集まることに、喜びと幸せを実感できることに感謝したい。
拙僧にとって、この集まりは目的と手段が一つのサンガである。
見附市天徳寺 中野尚之 合掌