『仏さまへのメッセージ』
平成十三年三月八日
私がお手伝いをさせていただいている病院の仏堂に一冊のノートがある。
それは誰が書いても、誰が見てもよい仏様へのメッセージ。
 
一、 ある日ノートに記してあったメッセージより
私は四十六歳で二児の母親です。でもアルコール依存で二度目の入院。
明日退院することになりましたが、正直言って自身がないです。
子供にも「自分に勝て!」と励まされ、主人にも「誰が直すものでもない直すのは自分自身なんだ」と言われ、「今度こそは」と自分に言い聞かせながら涙流しています。どうか見守ってください。
 
二、 四摂法(ししょうぼう)に学ぶ
四摂法とは四つの菩薩の実践行である。
この四摂法に【同時】(とうじ)と言う教えがある。
これは、「形をかえ衆生に近づき、衆生と事業を同じうして摂する」(禅学大辞典より)と言う実践行である。
私たちの日常生活においては、相手の立場に立つこと、人の身になって考え行動することに他ならない。
 
三、 坂村真民さんの詩より
『一番いい人』
何も知らない人が一番いい
知っても忘れてしまった人が一番いい
禅の話もいらぬ
念仏の話もいらぬ
ただお茶を飲みながら
鳥の声を聞いたり行く雲を仰いだり
花の話などして帰ってゆく人が一番いい
別れたあとがさわやかで
過ぎた時間が少しも惜しくない人が一番いい
                                 (あうんの花 より)

見附市天徳寺 副住職 中野尚之 合掌