思いを受け継ぐ(永久の命)
平成十六年三月二十六日 加茂法話会
一、昭和四十一年度(私が小学四年生)の田上小学校PTA会報。そこには、子供の教育について師匠が寄稿していました。
『主体的な態度を持たせたい 〜親は傍観者で〜』という題で、『子供に接する根本的態度に「子供が転んだ時に直ぐ手を貸す」又「子供が転んだ時に子供が一人で立上るのを励ます」のいずれかであろうか。』と問いかけ。『どうしても前者になりがちであるが、子供が自分で考え、自立心を養う為にも後者のあり方で接したい。ただし、親の愛情と激励を背後に持つことが大切である。』と語りかけていました。
二、同事というは、不違なり、自にも不違なり、侘にも不違なり、譬えば人間の如来は人間に同ぜるが如し、侘をして自に同ぜしめて、後に自をして侘に同ぜしむる道理あるべし、
(形や行動を相手に合わせるということは、逆らわないということです。自分の立場にも逆らわず、相手の立場にも逆らわないことです。たとえば人間としての釈尊は、さとりにいながら人間の言葉で語り、悲しみを共にしたように相手の気持ちを自分の方へ融和させて、その後、自分の慈悲と智慧を相手に同化させる配慮が道にかなったやり方でしょう。)
正法眼蔵菩提薩埵四摂法の巻
三、「よみがえる教室」〜ある校長と教師たちの挑戦〜 NHKスペシャル二月二八日放送
学級崩壊・不登校を克服、授業に命をかけた校長と教師たち
平成十年に開校した神奈川県茅ヶ崎市浜之郷小学校の取り組み
教師が互いに授業を見せ合う。壁がない。学校を作ったのが初代校長の大瀬敏昭さん、五七歳
子どもの考える力を蓄える授業。
知識だけで勝負させても駄目。どんな意見でもまず認めてあげる。
いままでは、型にはめてやってきた。それでは自信が生まれない。
国は子どもの生きる力を育む授業をすることによって、不登校、学級崩壊を撲滅していきたい
大瀬さんに胃がんが、すぐに手術をしたが、再発。余命わずかと伝えられる。
胃を切除し、腸も患っている。食事を取ることができない。点滴で栄養補給。
休養せず、学校の改革に専念することを択ぶ。点滴のやり方を覚えて、学校へ。
四年二組M先生、初めての公開授業。教師になって四年。
目指しているのは、日本一楽しい授業。楽しく授業をやるだけで子どもの意見を聞いていない。
大瀬さん、自分自身の末期がんをさらけ出して、「命」をテーマにした授業。日に日に衰えていく現実を見せる。
「忘れられない贈り物」スーザン・バーレイ・・死んだアナグマの残していったおくりもの。
一人の命は途切れるけれども、命はつながっているのではないか。
命的にはつながっていないけれども、何がつながっている。思い出。終わらない命。永遠の命。友達や家族に忘れられない思い出として残るはずだ。
死への恐れを持ちながら、精一杯生きることを伝えたい。今年一月に、亡くなる。享年五七歳。
四、同事の教え 現代の親子関係、師弟関係、様々な人間関係に。
東龍寺住職 渡辺宣昭 合掌