心の二人三脚(自他一如)


                                                        平成十五年七月十六日 加茂法話会

一、長崎男児誘拐殺人事件
九日に市内の中学一年生男子生徒が補導された翌日の
Yahoo!ニュースで

「十二歳が犯行を認めた幼児誘拐殺人。現在は十四歳以上が刑事罰対象だが、引き下げるべき?」というインターネット上の投票がありました。 計5万1781票

責任をとるべき。引き下げを               八十%

犯罪抑止のために引き下げを               十二%

効果がないので現状のままでよい         二%

少年更生のため現状のままでよい         三%

わからない                                           一%

 皆さんはいかがですか。

 

二、インドから中国へ禅を伝えた達磨大師と梁の武帝とのこんなお話が伝わっています。

武帝が達磨に質問します。

「自分はこれまで沢山のお寺を建てたり、写経をしたり、大勢のお坊さんに供養をして来た。一体どれ位の功徳が得られるか。」と訪ねました。

それに対して達磨はたった一言「無功徳」と答えたのです。

「仏法の究極の真理とは何ですか。」

「からりとして聖なるものなどどこにももない」

「私の前にいるあなたは一体何者か。

「知らない」

達磨と武帝は波長があわず、

ついに達磨は揚子江を渡って魏の国に至り、少林寺に入って面壁九年の生活を送った。

武帝は他と比較する自己、狭い自我的な自己

 達磨大師は開かれた自己、自他一如、損得を離れたとらわれのない深い真心

 

三、心の二人三脚〜自閉症児と級友たち  

  自閉症児と健常児がともに学ぶ武蔵野東技能高等専修学校の一年

  バディ・・・健常者と障害のある子供がペアを作り、共に学んでいく。

  N・Mさん・・小学五年から一言も話をしなくなる

  M・Rさん・・自閉症

  徐々にお互いを思いやり、周りへも心を開いていく様子。

 

四、「四摂法(ししょうぼう)」(仏教徒の理想の生き方を示す四つの倫理徳目)の中の

「同事」

同事をしるとき、自他一如なり。・・・・同事は薩埵(さった)の行願なり。ただまさに、

やわらかなる容顔もて一切にむかうべし。
                                                         (「正法眼蔵」 菩提薩?四摂法より)
                                            
                                                      東龍寺住職 渡辺宣昭 合掌