海外の禅に学ぶ
加茂法話会 平成二十三年十月十八日
一、 六月、愛媛新聞に「宣教師の子が僧侶に」という記事があり、アメリカのロサンジェルス禅センターで坐禅指導をされているルメー大岳師の記事が目に留まった。
彼が「仏教ではだれでもがブッダと同じように悟りを開けると考える。それがキリスト教との違いの一つなんだ」。師は福井県小浜の発心寺で二十七年間修行を重ね、その後、初めての外国出身の北アメリカ国際布教総監に就任された方。
二、十月四日、曹洞宗宗務庁で、国際シンポジウム「未来への道をひらく曹洞禅」開催。
日本のお寺の数は、約七萬六千ヵ寺で、コンビニの約二倍。
基調講演をされた上田紀行先生がここ数年間、聴衆に質問をしてきた。
この言葉に対していいイメージを持っている人
@ 仏教 ○○パーセント
A 日本仏教 ○○パーセント
B 日本のお寺 ○○パーセント
C 日本の僧侶 ○○パーセント
今、日本仏教が、世界に広がった日本仏教から学ぶ時なのではないか。
三、北アメリカでは、今もなお、仏教、曹洞禅への興味は高まっています。
人々は、畏れや不安からの解放。生老病死からの自由を求めています。
ブッダは、自己中心の考えから離れ、ただ法に目覚めれば、そのような苦しみから解放されると教えている。
曹洞宗の教えは修行そのものが覚りで、日常生活すべてが禅です。
静かに坐ることや日常の行いの中で、私たちが法そのものであると断言できる最善の方法が坐禅であるというのが両祖の教えです。
ただ、壁に向かって足を組み坐禅をする。これが実にアメリカ人に魅力のある曹洞禅の側面です。 ルメー大岳師、国際布教プレゼンテーションで
四、十月五日、アップルコンピューターの創業者スティーブジョブス氏が、逝去。
スタンフォード大学でジョブスが語った言葉は禅の心そのもの。ジョブスはこう語りかける。「自分が間もなく死ぬのを覚えておくことは、人生の重大な決断を助けてくれるもっとも重要な道具だ。なぜなら他人からの期待やあらゆる種類のプライド、恥や失敗に対する恐れなどは死を前にして消え、真に重要なことだけが残るからだ」
曹洞宗北アメリカ国際布教師の秋葉玄吾師は言う、「これは禅の悟りに通じる考えです。悟りとは”いつ命が消えてしまうかもしれない自分に気付くことです。欲望は執着心から生まれます。執着を捨て、いつも出発点に帰ることが、禅思想の核心なのです」・・・・
週刊新潮10月20日号の「禅を学んで世界を変えた『 i 』の巨人」
五、@葬儀をお勤めさせていただくことと、A生きている人とともに仏道を学ぶこと、この二つが車の両輪ごとく進んでいくことが、これからの日本仏教の方向ではないか。
東龍寺住職 渡辺宣昭 合掌