平成十九年五月三十日 於加茂法話会
一、昔から伝えられている習慣やしきたりの中には、日々の生活の中で生まれた知恵や今後も伝えていかなければならない貴重な精神文化があります。しかし、現代社会においては、悪しき「習わし」や「しきたり」について見直し、検討することが今日的なかだいとなっています。特に根拠のない「迷信」は、人心を惑わし差別そのものを温存し、再生産し、時にはおきには尊い命を奪うことさえあります。
二、陰陽道の「六曜」は六曜星の略で「六輝」ともいい、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六星を一揃(ひとそろ)いとし、この順で陰暦の月日にいたがって機械的に割り当てたものとして使用されています。
政府が一八七二年十一月十三日太政官布告 迷信として「六曜」記載の暦の販売を禁止したが、戦後出版の自由復活で記載されるようになった。
三、六曜は旧暦でみる。どのように決められているか。
旧暦一月と七月の一日は先勝 二月と八月の一日は友引 三月と九月の一日は先負
旧暦四月と十月の一日は仏滅 五月十一月の一日は大安 六月十二月の一日は赤口
四、六曜の計算方法
旧暦の月+日―一=X 八月+十五日―一=二十二 2+2=4
x=1先勝2友引3先負4仏滅5大安6赤口
1先勝さきがち・先んずれば勝つの意。午前中が吉とされている。
2友引ともびき・留連(りゅうれん)勝負のとどまる、葬儀を出すと友を引くとの迷信が生まれた。
3先負さきまけ・先んずれば負けるの意。午前中を凶とした。
4仏滅ぶつめつ・元来は空亡(くうぼう)「虚亡」すべてが虚ろで空しい意から、「物滅」となり、お釈迦様の功徳の亡くなると考えられ「仏滅」となった。万事に凶とされる。
5大安たいあん・元は「泰安」万事に吉の日であるとされた。結婚、建前などよし。
6赤口しゃつく・赤口神(しゃつこうじん)という木星の東門を守る神の配下に八大鬼がいて、一日交代で守護にあたっているとされるが、その鬼の中の八獄卒神という八面八臂の姿をして神通力で人間をまどわすところから、この鬼の当番日を赤口日といって悪日とされた。
正壽寺住職 呉 定明合掌