何で塔婆を立てるのか。

                                                平成十六年四月二十三日    加茂法話会

 

一、巣鴨で辻説法している時に、法事の時、なぜ、塔婆を立てるのですか。質問がありました。

    法事をしたシルシ?

 

二、供養とは、供給資養(きょうきゅうしよう)の意で、進んで供えあたえ養うこと。

    三宝(仏・法・僧)や祖先、亡父母、亡縁者等に対し、尊敬の心、感謝の浄心を持って各種の    物資を供え、仏菩薩に対して御加護を願い、先亡に対する追善の仏事を執り行なうこと。

 

三、追善供養の詞  {福島県・長楽寺、故中野郁郎方丈より、ご教授頂きました}

 

恭しく三寶の威徳を仰ぎ正法の慈光を請い奉る。本日、當家門において戒名回忌法要を営まんとす。故人この世を去りてより早や、年を過ぐるとは、まさに光陰やの如しと謂うべし。

  惟うに亡き人を仏と崇めその菩提を弔うことを追善供養と称するなり、心からなる合掌禮拜は、まさに幽明互いに隔てなく悠久無限の御仏の御命につながり法悦の感深きものあり。

  ここに於て霊前に香華を献じ、供物を供え、塔婆建立し  親類、縁者相集い、故人の面影を偲び、徳を讃え、和かにも慰め合い勵まし合うて追善供養の誠を致す。

  冀わくは精霊永久に平安にして當家の隆昌を見護り給わんことを。

             寺住持比丘  敬白

 

四、仏壇を掃除する。私の心の塵、積もっている(八万四千の煩悩となる、「俺が、オレが」)ほ    こりを払う。香炉の中も命日には掃除をする。

1、お明かし、蝋燭等・仏様と変わらない明るい心、不平不満の心暗い心を照らすスイッチは合掌。2、お線香・真っ直ぐに立てる。仏様と線香、自分が一直線になるように、各々の心が一つになる。    線香は頭に火をつけると最後まで燃える、自分の仕事を最後までやりとどける姿。

3、花、仏様の徳をあらわす。色んな花を組み合わせる、調和の香りをあらわす。水を取り替える。4、水、自由自在の心のあらわす。入れ物によって、形が変わる。清浄な般若の智水を意味する。5、食、おいしいものを相伴することは、祖先とのつながり、絆を味わう、精進の心、感謝の念。6、鐘を鳴らす、邪心を起こさない。祖先の御霊と自分の心が一つになること。

 

    明るい心で、不平を言わず、仕事に励み、助け合う、先祖の威徳に随って円満な心で日暮らし。

五、仏事、法事・死者に対する仏法行事の略。法要は仏教の教説の要点を説くこと。

 

    仏事、法事、法要、追善、年回、年忌、報恩行事、死者の冥福を祈り、善事(仏事)を追修し、  この功徳を先亡に回向(私達の身心に円満な仏が現れ、先祖の心と一つになり、共に菩提を成就)  することができる。真心の追善供養が祖先に通じて冥福を助長し、この功徳によって私達の菩提  の芽を生じ、花開く勝縁を結ぶ。

 

六、塔婆、何のために、建てるのか。追善供養のあかし。死者を追慕し、敬愛の心、滅悪生善処。

    塔婆は、亡き人のために、仏様を一体作って供養すること。苦しみから逃れ、悟りに至る。

    塔婆がギザギザなのは、五輪塔の略。五輪塔は、人の形であり、仏のお姿である。

 

1、塔婆の始まり、

    インドのハシノク王が世尊の髪を乞うて塔を建立した。

    世尊の成道の時、二人の商人が髪と爪を求めて塔を建てた。

    ミャンマーン、シュエンダゴォンパゴダ(モン族タポゥタ、パッリカの兄弟)8本の髪を祭った    弟子の舎利弗死んだ時、悲しみのあまり、塔婆供養をした。

 

2、それぞれの年忌にそれぞれの仏様を作る。

    昔は、板塔婆でなく、紙塔婆、生木塔婆(三十三回忌)自然石塔婆(五十回忌)

 

3、五輪の意味、キャ空(宝珠形)カ風(半円形)ラ火(三角形)バ水(円形)ア地(方形)

      人間の体                                                 

    大地を因として、水を縁として頂いた命は、(火)エネルギーによって、風のごとく自由自在    に活動し、空間と時間を超越する。

 

4、裏の梵字はバン法性浄水、大日如来を涌出させ、大悲智水の変成し、菩提心を起こし心の垢を    洗浄し、皆悉煩悩の罪垢を断つ。遍至の徳、般若の智水で潤す意。(大日如来・太陽以上の性    徳を備え、時間、空間、因果の制約を超えて、一切衆生に恵沢を及ぼす絶対平等の仏身)

                                                                正壽寺住職    定明合掌