般若心経(十二回目)

平成十六年一月二十六日 於加茂法話会

 

一、無罣礙故。無有恐怖。遠離顛倒夢想。究竟涅槃。三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。故知般若波羅蜜多。是大神咒。是大明咒是無上咒。是無等等咒。能除一切苦。眞實不虚故。

    

心に罣礙(こだわる)ことがないから恐怖(おそれ)をいだくことがなく、さらにまた顛倒夢想(まよい)を遠く離れてすべて涅槃の限度まで行き着くのである。

三世(さんぜ)の諸仏(みほとけ)も般若波羅蜜「知恵はらみつの(行)」によりて立ち無上正等覚「優れた悟り」を得ることができる。このように、理解することができる。

 

二、説般若波羅蜜多咒 即説咒曰 掲帝掲帝 般羅掲帝 波羅僧掲帝 菩提僧莎訶 般若心経。

 

このお経は、般若波羅蜜多(言葉を越えて表されるありとあらゆる物が真実の世界)み仏の真言(まことのことば)呪文を説いているのである。

 

即説咒曰・・すなわち呪文を説いて言うには、

心が迷っているからわからなくなる。仏様の呪文に秘密があるのではなく、自分の心が暗いから、真実の悟りを教える呪文がわからない。

掲帝・・・・この身このままで悟りを得る。

わずか一字の中に、無量の深い真実があり、その功徳を、この身このままで、たちどころに悟りを得ることができる。

掲帝・・(渡る・往く・至る・去る)の意味がある。

悟りの世界に往ける者よ、悟りの世界を体現している者よ。

般羅掲帝・・完全な菩薩となるための真言。「彼岸に行くものよ」

波羅僧掲帝・安心立命の境地に立つ真言。此岸から彼岸へ。

菩提僧莎訶・悟りがめでたく成就する。

心に一点のくもりも迷いもなく、すべてが仏の光明につつまれている。それが、般若心経の功徳である。

般若心経・・心の中の音に導かれて、すべて宇宙をになう一つの命、失わないように生きていくこと、般若心経の生き方、行持じて行くことが菩薩道である。

 

正壽寺住職 呉 定明合掌