般若心経(六)

                                      平成十五年二月二十四日    加茂法話会

 

一、觀自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。舍利子。

 

    聖なる觀自在菩薩、いと深き智慧波羅蜜多を行ぜられる  かんのん時に「ありあり    しもの  みな空なり」照見し、よろずの苦厄を解き給う。

 

    偉大なる観音様は、(正しい智慧で)仏様ものさしのスイッチを入れると欲望に振    り回されない(曇り無き鏡の)心は、全ての人の苦しみを救う光を放つ。

 

二、色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識亦復如是。舍利子。

 

    ああ、智慧深き舎利弗よ。その心根を聞き給え。(色)姿は空に異ならず、空は姿    に異ならず、姿は即ちこれ空なり、空は即ち姿なり。

    五官も想いもはからいも心も、亦また同じなり。

 

    色不異空(色)時間も空間も蜃気楼のように壊れやすい、それを(空)というので              ある。

    空不異色。映画の映像は動き続けている。

    色即是空。私達は、何時までも、映像の一コマが永遠の世界であると勘違いするが、              その一コマが無いとまた、

    空即是色。映画の映像にはならない。

 

    受・・・印象、刺激を受け止め感じる、「六根」眼、耳、鼻、舌、身体、心(意)    想・・・感覚内容、                  「六境」色、声、香、味、触、  法(表象)    行・・・行為、行動、精神作用ではない、実践方法である。意志と行動。

    識・・・認識、認識の内容は知識である。意識。対立する概念。

 

三、是諸法空相。不生不滅。不垢不淨。不増不減。

 

    ああ智慧深き舎利弗よ。その心ね(観行)によりて観よ。

    是諸法空相。この世全てのものは皆幻にして実体(かたち)がない。

    不生不滅。  生まれ、消え失せることはなく、

    不垢不淨。  けがれる、清きことなく、

    不増不減。  増えるも減るも、ないものである。

 

    まるで、クイズですね。生まれない、死なない、汚くない。きれいでない。増えも    しない。減りもしない。

 

    空のあり方。仏様の心、(曇り無き)鏡のこと。

 

    不生不滅。鏡は物を写したから、消したからと云っても変わりはない。

    不垢不淨。汚いものを写したら、鏡は汚くならない、また逆も同じである。

    不増不減。山を写しも鏡は重くならない。鳥の羽根を写しても鏡は軽くならない。

    「科学のエネルギ−の不変の法則」

 

    コップに入れた水は、そのままにしておくと、蒸発する。または、とても寒いと凍    る。普通蒸発していても、寒くなると窓に水滴がつく、水は消滅したり、発生した    りする。水が水蒸気に、水蒸気が水に、温度の変化によって起こる。

    時間により、温度により、変化する。水は絶体ではない。

 

 

                                                    正壽寺住職    定明合掌