平成二十年五月二十六日於加茂法話会
一、自由・勝手気ままであり、面倒くさいからやらない。
恣(ほしいまま)は失(あやまち)の本(もと)なり
乱暴・罵倒・迷惑
家庭は斎(ととの)はず、国は治まらず、世界は安寧ならず。
柔和・威儀礼節・正道
二、「観音経」に『能救世間苦』とある。「能(よ)く世間の苦を救う。」
『念彼観音力』「称名せば、観世音菩薩、即時に其の音聲を観じて皆解脱することを得ん」
法入我……彼の観音を念ずる力
散り乱れ足る心を一つにして動じない一心。悪をしてはならない。
我入法……彼の観音の力を念ずれば
二心なく深く頼む一心。悪をしない。
法我不二…念ずる彼の観音の力
仏の心と我が心が合体してひとつになる一心。悪をする事が出来ない。
三、身を持って観音経をよむとは、法我不二、自分で自分の掟に誓う。
六徳行=ろくはらみつ【六波羅蜜】生死(=此岸)をはなれて、仏陀の悟りの境地(=彼岸)に達すること。また、そのための菩薩の修行。悟りを得るために菩薩が行うことを要求される六種の修行。布施・持戒・忍辱・精進・禅定・知恵の六つのこと。
①布施仁愛の徳行…常に仁愛の心を施して一家和合すること。
②持戒威儀の徳行…互いに身を修め、口を慎み、意を誠にすること。
③忍辱柔和の徳行…兄弟姉妹等互いに敬愛して怒らないこと。
④精進勇猛の徳行…各々其の業(おこない)を励みて怠らざること。
⑤浄慮安楽の徳行…災難に遭っても其の志を変えないこと。
⑥智慧自在の徳行…常に真理の本体(佛性)を信じて迷妄せざること。
四、諸苦の所因は貪欲を本となす。
①慳貪とは布施仁愛の反対
「欲深き人の心と、ふる雪は、つもるにつけて道を忘るる。」
②破壊とは持戒威儀の反対
「世の中の人は知らぬに罪あれば、我身をせむる我心かな。」
③愼恚とは忍辱柔和の反対
「我れと云う心の鬼がつのりなば、なにとて人と中はよからん。」
④懈怠とは精進勇猛の反対
「貧乏の神を入れずと戸をたてて、よくよく見れば我身なりけり。
⑤散乱とは静慮安楽の反対
「幾度か思ひさだめてかわるらむ、たのむかたたは我心なり。」
⑥愚痴とは智慧自在の反対
「論語よみ論語知らずはぜひもなし、無知無学なる人に笑はれ。」
正壽寺住職 呉 定明合掌