お地蔵様

定光寺 乙川文英

平成十三年七月二十六日 加茂法話会

地蔵信仰

地蔵菩薩---釈迦入滅後、弥勒出現までの現世の救済を仏にゆだねられ、六 道を巡ってさまざまに姿を変え衆生を救う。観音と並び民間に広く信仰される。

定光寺のお地蔵様

子育地蔵尊

山門東側のお堂に安置。毎年七月二十三・二十四日に例祭。

六体地蔵尊

山門西側のお堂に安置。六道(天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄)それぞれを守護し教化するお地蔵様。

延命地蔵尊

昭和五十七年夏、加茂川改修の折に定光寺前堤防より出土。 現在は六体地蔵尊のお堂に間借り中。

ばれおん地蔵尊

墓地中央に安置。 定光寺が赤谷口から現在地に移転した際、跡地に取り残され、 「ばれよう、ばれよう」と言って連れてきてもらったという。

『「抱っこ」の宿題で』---新聞のコラムから

小学校二年生の息子が学校で「おうちの人に抱っこしてもらい、そのことを詩 に書く」という宿題をもらう。「あれ、軽い!息子は意外にもひょいと私の腕 の中でフィットしている。そういえば、『三キロの米を抱えるのは重いが、三キ ロの自分の赤ん坊はいつまでも抱っこできる』という話を聞いたっけ。二十数 キロでも息子なら抱えられる。」

ガリラヤ湖の奇蹟---阿刀田高『新訳聖書を知っていますか』より

湖の上に立つイエスにうながされ、弟子のぺテロははじめ少しだけ水の上 を歩くが、恐怖を覚えたとたん沈みかける。「イエスを本当に心から信じてい るならば---つまり自然の法則よりもイエスのほうを強く信じているならば、 今でも私たちは水の上を歩けるのかもしれない。」

信じること、願うこと

子供の頃ばれおん地蔵尊にくくりつけられた人、 子育地蔵尊のお祭りをはじめた人、 毎年必ずお地蔵様の衣をつくってくれる人、 毎朝欠かさずお参りに来る人、 息子が生まれて初めてのお祭りにお参りに来たおさななじみ---それぞれの 「思い」がかたちとなり石像に魂が宿る。