久昌寺涅槃托鉢 (二十)  平成十四年三月
新津市 久昌寺住職 中野睦宗
寛政十一年(一七九九)己未歳旦 后越田家村 画一門倚山庵 連中
 (前文)今年は五五の春を迎へ殊更寺造立のよろこびもあれば
 祝ひ重ね 普請も年も 栄ふ春 蓑笠庵釣江(久昌寺十一世大和尚)

前年 午の勢以保(せいぼ)
 (前文)知足のものは常に安楽なり 不知足のものは富といへ共貧しとハ仏の教へながら
 足る事を しらぬでもなし 年用意   此虹(久昌寺十世大和尚)

 
 昨年の涅槃托鉢でもご紹介させていただきましたが、久昌寺の現在の本堂が再建されて
ちょうど二百年。
 今、住職の私が二十二世。冒頭の句は本堂再建当時の住職(十一世)と東堂(隠居)の十世のおふたりの俳句です。 昭和五十四年、偶然この資料が発見されその写しを頂きました。当時の住職の喜びの声が聞こえてくるようです。

 両師の発願により、当村名主吉沢九平太様の助言を得、神楽講中(二百十人)を結成し、方々を行脚すること三年、苦労の末ようやく本堂再建の浄財を捻出し、遂に寛政十二年(一八〇〇)十月十五日に上棟し、享和二年(一八〇二)に竣工

棟札には、「十方有信檀越二世安楽信心不退」「当寺檀那現当快楽」「神楽連中二百十人講中本命元辰火災悉除万難消滅」「当邑名主吉沢九平太福聚無量」などの祈願文、工匠田辺波右衛門、「与作 祐吉 九良次 長七 嘉平次 権助 粂次 権八 伊吉 与市 茂七 太三次 虎吉 義左エ門 市太郎 定七 忠五郎 善助 安太郎 凡三年奉加 息災延命」などが書かれています(ご存知のお名前があればお教えください)仏天のご加護、多くの方々の物心両面にわたるご尽力で完成した本堂。

 三月三十一日午後より、本堂再建二百年祝典行事を開催。十五時三十分頃より、田家神楽保存会の神楽舞いが久昌寺本堂で行われます。ご随意にどうぞ。


    三月十五日(金)午前十一時より、ねはん会・お話・おとき  どうぞおまいり下さい
    午後四時より、子どもねはん会(だんごまき) ご遠慮なく、どうぞ
     涅槃の図 みな泣いていて あたたかし
 【久昌寺坐禅会】毎週土曜日 夜七時〜九時 どなたでも参加できます。