合気道と私 四段 池田 慶一 私はいつかは合気道をやりたいと小さい頃より 思っていたように思います。中学生位までは体も 小さくて弱く、三条の武徳殿の道場で合気道をや っている人がいるというので算盤学校の帰りに遠 巻きにのぞき見た記憶があります。 長岡高専ではバレーボールをやっていましたが、 一七五センチとバレーの選手としては身長が低く いくらジャンプ力を付けてブロックを決めても監 督に二時間の試合中ずっと高く飛ぶ事は出来ない と言われて落ち込んだ時期に、体育の柔道の授業 で友人に散々投げられ、意を決して合気道の本部 に入門の手紙を書きました。当時は高校生以下で 合気道をやっている人が県内にはいなくて、本部 からは大学生の年齢になったら新潟大学の長岡校 舎で合気道を教えているから訪ねて見たらどうか というお返事をいただきました。 しかし十七歳の夏、待ちきれなくて工学部の薄 暗い木造の道場を訪ねてしまいました。今考えた ら大学の部活に参加させてくださいとよく訪ねて 行ったものだと思います。指導は大村師範でした が、普段は四年生の野武士の様な先輩の指導の毎 |
日でした。大学生の合気道は技より力でねじ伏せ る合気道で、箸をまともに持てない日々が続きま した。気を抜くと怪我をしてしまう練習でした。 私も二度ほど相手が受け身を失敗して骨を折って しまい申し訳なかったと思います。しかし、帰り にはよく先輩から十円寿司を奢ってもらいました し、若い時期でしたから同年代の女性と一緒に練 習できたのは大変楽しかった事を覚えています。 男女が一緒に練習するスポーツというのは他には あまりないと思います。辛い合宿も楽しいもので した。共に練習した日々を懐かしく思うと共に、 今でも続く交流に感謝しています。 一生懸命やったのですが残念ながら二年半の部 活では大村先生から段をいただくことはできませ んでした。しかし、簡単に段をいただけなかった 事が今も合気道を続けている事に繋がっていると 思います。 東京に就職し、麻布道場の練習に参加して驚き ました。一年三六五日練習するのです。それも七 時くらいから十時まで。日曜も午前練習してお昼 を食べて解散です。しかし、本部から指導にきて |
くれる先生が毎日変わるので好みの先生の時に練 習に参加しました。海外指導に行く前の市橋先生 には自由にかかって来なさいと言われて本気でか かっていったらわけも分からず投げられたり、初 老の佐々木先生には軽く身動きできないように抑 え込まれたりしました。南波先生や鳥海先生のほ かにも巨大な外人もいて毎日が楽しい練習でした がレベルが高くて二年たってもやっぱり段がとれ ませんでした。 仕事の都合で浦和に移り浦和道場で三年練習さ せていただきました。小澤師範代に合気道に通じ るという事で居合もさせていただきました。模擬 刀では何とか入り身に入れるのですが、ある時真 剣を持ってこられた時にはとても中に入る事はで きませんでした。ここでようやく二段まで取る事 が出来ました。 現在は三条の道場で練習をさせていただいてい ます。早いもので合気道を始めてから三十七年が 過ぎました。 三条では流派にこだわらず、今まで通りの動き で練習させていただき感謝しています。最近は月 |
数回しか練習に参加できませんが今後とも何卒よ ろしくお願いいたします。 感謝九拝 |
合気道へのきっかけと今 四段 野 村 雅 幸 私が合気道と出会ったのは一五年前のことでし た。きっかけは、四十代半ばに近づき十年後の自 分の姿、形、動作を考えたことでした。それまで の私は冬にはスキーを毎週のように楽しんでいた だけでその他のシーズンは全く体を動かすことが ない生活でした。 小中学校の頃は剣道に夢中になり気持ちよい汗 をかくのが好きな子供でした。年を重ねる毎に楽 をする事を覚えてしまいすっかり運動から遠ざか っていました。剣道の再開を考えたのですが体力 的に無理であろうと思い武道の中で何かないかと 思案しておりました。 たまたま三条市教育委員会主催の各種スポーツ 教室の一つに合気道初心者教室がありこれに興味 を持ったことがそもそものきっかけでした。この 初心者教室は三条合気道会が教育委員会の要請に より実際の指導を行っておりました。野水副会長、 岩本(現理事長)さんの指導のもと半年間体を動 かしていました。(現在は教育委員会とは何の関 係なく三条合気道か独自にて五月〜一一月の半年 間初心者教室を開催)。 |
当時抱いていた合気道のイメージは女性や子供 でも簡単に出来る武道でした。ところが実際にや ってみるとこれがどうしてなかなかなもので体と 考えが一致せず動けません。実はこの出来ないこ とに驚き、出来ないことが自分の中で面白く、こ れを何とか出来るようになろうと(転換すら難し く)合気道にはまっていったのでした。またそれ が今日まで続いている源だと感じております。 数年前より岩本理事長の手助けとして他の会員 ならびに初心者の方々を指導する立場となりまし た。指導をしていますと自分の動き、説明が相手 に理解されているのか心配な時もあります。しか し私自身の合気道修行の中では興味、向上心を失 わないよう心がけて行き、他の人にも伝えること が出来ればと思っております。週二回九十分の稽 古ですがこれが今後の自分にとって色々な意味で 糧となるよう利用できたらと思います。最後に、 人を教えるという事は自分にとって逆に教えられ ている事だと考えるようになってきました。これ が又、実に面白い。 |