エイホ！　エイホ！エイホ！エイホ！

湯沢の宿場から今日も二つの籠が蓬林道に向っている。
籠には長岡藩のおてんばお姫様とお姫様のお目付け役のヒデ爺が乗っていた。
先月の清水峠で姫様がたいそうお気に入りになった花があり
どうしても、もう一度あの花の咲いているところが見たくて出かけてきた。

	姫 「爺登山口はまだなの」 爺 「姫、まもなくでござる右は土樽の停車場です私たちは左の道に向います。」
爺 「姫、到着しました。 ここが最終の駐籠場でござる。 私たちの他にも蓬峠を のぼる方がいらっしゃる ようでござる」

	姫 「いいね。沢沿いの道は、朝陽を浴びて輝いているよ」 爺 「いい感じでござる」
爺 「姫、素敵な道も地元の方の普請のお陰でござる。このように下草を刈ってもらってあるから安全にあるけるのでござる。 姫 「そうだね、有難いね」

下草が刈られた快適な登山道を
姫と爺は楽しく歩いていった。
そして、東俣沢出合に出る

東俣沢でいままでの沢沿いの登山道は
本格的な尾根を登るようになる

姫 「爺、休憩しよう。 面白いぶながあるよ」 爺 「そうでござるな少し 休憩しましょう」

朝の顔	昼の顔

根性ぶなを過ぎ急登の登山道を
登っていくとまもなく中の休み場になる。

姫 「爺、あれ、広い広場にでたよ」 爺 「中の休場でござる。 標高１０８５ｍでござる」

中の休場からは程よいぶなの原生林の急登が続く

姫 「爺、視界が開けてきたよ。 ここが茶入沢だって」 爺 「ここまでくれば姫、あと少しでござる少し休憩しましょう苗場山もよく見えるでござる」

姫 「ここのダテカンバ もおもしろいね 下に向って伸びているよ」 爺 「雪が多いせいでござるかな」
	姫 「いいね、いいね 風が気持ち〜〜〜〜い 足元にはタカネニガナが満開だよ」 爺 「でましたね、これからは快適な 登山道でござる」

さわやかな風とお花たちと共に明るい登山道を進むj爺と姫であった。

姫 「爺、これが岩清水の水場かな 少し飲んでみよう。おいしい」
	爺 「こちらの水場は 蓬ヒュッテからの水場でござる 先ほどの水よりこちらのほうが旨いでござる」 姫 「どれ、姫も一杯 うま〜〜〜〜い」

イワハゼ	ミヤマクルマバナ

姫
「爺、朝露に濡れたお花たちも
みずみずしくていい感じだね

姫 「蓬ヒュッテに着いたよ」 爺 「ようやく、半分まで来ましたね これからがたのしみな笹原の稜線歩きが待ってござる左の登山道へ行きましょう」
	爺 「後ろに連なる山々は 谷川連峰の茂倉岳方面でござる」

姫 「青い空、心地よい風、 そして、ニッコウキスゲが歓迎 してくれているよ」
	姫 「爺、あの先の高い山が 七ツ小屋山なの遠いな」 爺 「姫、足元をごらん下され ハクサンフウロも 歓迎しております」

姫と爺は快適な稜線漫歩を楽しみながら
七ツ小屋山へと向かって行った。

	爺 「ここは標高１５４４ｍの地点で あの怖そうな大源太山の 周回コースの分岐点でござる」
姫 「木道が敷かれてあるよ。 ここは何処なの」 爺 「ここが七ツ小屋山にあるミニ湿原でござる姫のお目当てのリンドウが咲いているかもしれないでござる」

そんな会話をした後突然に姫の歓喜の声が湿原に響いた。
咲いていたよ・爺

爺
「よかったよかった、
ここまで登ってきた甲斐があったでござる。
デジカメで撮りましょう時間は充分にあるでござる」

30分ほど湿原で休憩しながら
タテヤマリンドウを撮影をした爺と姫は
これから先の七ツ小屋山までのお花畑の
登山道に、歓喜歓喜の連続であった。

姫
「最高だねハイポ−ズ」
爺
「綺麗でござる」

そんな歓喜のなか山頂前のガレ場を登りきった二人でありました。
山頂には先客がおり先程、姫と爺を追い越していった人であった。

爺 「姫、お疲れ様でした 七ツ小屋山の山頂です。 １６７４ｍでござる」

姫
「先月登った清水峠の監視小屋が見えるよ」
爺
「見えますね、この前は清水峠から七ツ小屋山の
山頂の標柱がはっきりと見えたでござるね。」

山頂でお昼を摂っていた姫と爺そして先客の前に突然
マウンテンバイクにのった３人の若者が現われた。

爺 「話には聞いたりHPで見たりはしておりましたがまさか本当に出会えるとは思ってもいなったでござる
	姫 「爽やかな若者たちだね 記念写真を撮ろうよ」

「そうでござる。このような若者がまだいたでござるな 聞けば昨日江戸から土合に来て白樺小屋に泊まり今日蓬峠を走破しここより清水峠に向かい土合に下るとのこと。そして素敵な笑顔の爽やかな若者３人は清水峠に向って走っていった。 七ツ小屋山の山頂で素敵な時を過ごしていた姫と爺そして先客であったが,突然元お姫様と元若殿様の集団が現われいままでの心地よい一時が一瞬にして打ち消されてしまった。

「姫、退散でござる」
姫
「そうだね、退散退散」

爺
「姫、素晴らしい景色をみながら帰るでござる」

姫
「何度見ても素敵な景色だね。
昔の旅人もこんな景色を見ながら旅したんだね」



帰りも花や鳥たちそしてさわやかな風をお供に
蓬ヒュッテに着いた姫と爺は本来の蓬峠まで空身で散歩に出かけた。

	姫 「良心的な値段だね」 爺 「夕食はライスカレー らしいでござる」

姫
「あの七ツ小屋山まで登ってきたんだね」

爺
「そうでござる、よかったでござる。
時が止まったような一時であったでござる。
いま少しこのままこの時を過ごすでござる」

蓬峠でも素敵な時を過ごした姫と爺はほどなく下山していった。

爺
「姫、今一度見ておきましょう」

姫
「そうだね、あの稜線を歩いてきたんだね。
昔の旅人は贅沢だったんだねお花を見たり
時の過ぎるのをゆるめてみたりして自由に旅をしていたんだ」
爺
「そうでござる、私たちが視えなくなった時を
彼らには視えていたのかもしれませんでござる」

爺 「姫、お疲れ様でした。」 姫 「タテヤマリンドウにも逢えたしなかなかいいコースだったね」

姫と爺は駐籠場に待たせておいた籠に乗り
湯沢宿の温泉に向ったのでありました。

めでたし。　めでたし。