第二回 術後間もない方の勉強会
2004年11月7日

信濃川会館
PM:13時からPM3時30分


講師の先生

県立がんセンタ-新潟病院  梨本  篤  外科部長
 藪崎  裕  外科部長
 山岸喜美枝 栄養課長

@ 術後の後遺症について
A 医師に聞きたいこと
B 食事・栄養に関すること
C その他・不安に思っていること



アンンケ−ト発送  57通
回答総数  40通

後遺症の症状ならび状況
ない 17名 42.5%
時々ある 17名 42.5%
よくある  4名 10.0%
回答なし 2名 5.0%
合計 40名 100.%





今回のアンケ-ト調査でもやはり前回と同様に術後の後遺症がない方が半数とは驚きであった。講師の先生方も不思議に思っていたが、がんセンタ-でも、いままでの術式を見直し術後のQOLの向上を図っている結果なのかと思われ、うれしいことであると感想を述べていた。


質問総数130件の内訳
どのような後遺症か 33件
医師に聞きたいこと 38件
栄養課に聞きたいこと 33件
不安に思うこと 26件
130件



今回4つの項目のアンケ−トの質問総数が130件であり質問内容を見てみるとやはり一番多かったのは食事、そして次が不安である転移・再発、そして次が体重・体力の不満?と続いている。

下記の表にまとめた内容は主だった質問と回答でありすべて抜粋したものではない。また60人ほどの参加された方で全嫡はたった6人しかいなく他はすべて亜全嫡(胃の4/5切除)ないしは部分摘出(胃の2/3切除)であったのには驚いた。また内視鏡での手術者が1名とこれから内視鏡で手術される方が1名おられた。


1.どのような後遺症ですか
質問内容 回答
下痢
について

下痢と便秘を繰る返す

胃の手術後は消化力の低下に伴いどうしても発生する事柄であり日にち薬である。
下痢(食べすぎ・冷えたとき・よくかまなかったとき)をする その通りであり注意してください。
便秘について
若い時痔の手術を受けている。便通が不規則でたがっているのに出ない排便時軽い腹痛を伴う
(術後一年半男性75歳)
痔の手術をした方は便が出にくい。
便が硬い(術後4ヶ月の男性) 水分を良く取るようにそして適当な運動をすして腸に刺激をあたえる。
逆流
について

20年前に亜全摘し2年8ヶ月まえに残胃を全嫡した女性の方から4日に一回くらいの頻度で逆流が発生するまた、風邪薬を飲んだ朝や睡眠薬を飲んだ翌朝などつかえがでる。消化剤の変わりにアロエを細かくきざんで食前に食べているが問題はないか 全嫡と噴門側切除の方は逆流が発生しやすいので枕を高くして寝る。
アロエに関してはご自身の体調が良ければ続けるべきである。
逆流の弊害について教えて欲しい。(60歳位男性) 逆流性食道炎を患うが軽減する薬があるアルロイドGやフォイパン錠を夜寝る前に飲む。
また、牛乳には粘膜を保護する作用があるので夜寝る前に暖かい牛乳を飲む。
また、全嫡の方は食道と小腸をつなげる時本来は40cmの長さだががんセンタ-では50cmにして逆流防止に努力している。
つかえについて 早食いした時など食事を始めて直ぐにつかえて嘔吐すると唾液みたいなねばねばした液体がでてくるがこの液体はなにか。
(昨年の12月に全嫡の80歳位の男性)
胆汁ならば黄色であるがそれはもしかすると鼻水ではないか。鼻に炎症を(アレルギ−とか蓄膿症とか)持っている人でそのような症状がでた人がいたとのこと。
俺も納得

他にも腹痛、腰痛、体力の衰え、術後胆石症、おならが臭い、胃もたれ、はきけなどの後遺症が書かれてあった。


次は医師に聞きたいことはどんな事ですかのアンケ-トに回答を戴いた。このなかで一番皆さん聞きたいことが多かったのは再発・転移についての不安と体重が増えないことへの不満であった。



2.医師に聞きたいこと
質問内容 回答



転移について

転移、再発のことが頭から離れない。
癌の転移再発とは。
どこか痛くなると再発したのではないかと不安になる。

皆さんの一番の関心ごとであり胃がんに関しての転移再発について解答された。胃がんの再発・転移は(胃・友の会だより10号04/04/25発行)に載っている事を中心に話す。
再発や転移の検査はどうすればいいか がんセンタ-では胃がんの再発チェックはやるが他のがんの検査は人間ドックなどの検査を定期的に受けて欲しい。
胃がんの再発予防はどうすればよいか。 がん予防14か条NHK「試してがってんがん特集」や国立がんセンタ-の12か条などを話す。
アガリスク、まいたけなどの茸類やにんじんジュ−スなどはがんの抑制、再発防止に効果はあるのかどうか。 免疫療法に関しては研究中でありあまりマスコミに惑わされないようにしなければならない。
今度がんになったら(再発転移)したら瀬田クリニックの免疫細胞療法を利用しようと思っているがどうなのか 昨年はバカの壁、今年の話題は新潟大学病院の安保徹先生著書免疫革命らしいがすべてのがんが完治するのではないのでよく調べてからのほうがいい。
体重
・体力について

太りたいです。
術前64kgから53kgで体重が増えない(術後一年半男性69歳)
術後の体重がまったく回復しないこれは異常か。(術後1年75歳男性)
体力を使う仕事のせいか体重が減っている。(57歳男性)
体力の回復がなかなかで、すぐに息切れがして疲れる(82歳男性)
体重が増えず体力が衰えすぐ疲労する年齢のせいなのかそれとも食事が問題なのか。
術後11ヶ月過ぎたが体重が増加しないので心配(71歳男性)
前回も話したが全嫡の方で10kg
亜全嫡の方で5kgほど減少する方が多い。また若い人ほど体重の戻りが早いようである。
体重に関する悩みはほとんど男性でありなぜ、そんなに体重にこだわるのか解りません。体重が減ったのちその体重が維持されているようであれば良いのではないか。もっとプラス思考で考えてみてはどうか。
術後まだ浅いがラジオ体操などの運動は傷には問題はないか
(術後2ヶ月65歳男性)
手術した傷は3ヶ月程で完治するのでそれまではあまり激しい運動はしない方がいい。ラジオ体操はなんら問題がない。
ある人は術後体力の低下を防ぐ為に入院中に腹筋運動をやりすぎて腸閉塞になった方がいた
検査

対応について
再検査の時腫瘍マ−カ−に引っかかりその検査結果についての説明がなかったので後日電話して看護婦さんより確認して納得した。 がんセンタ-では問題がなければ検査結果については電話はしないシステムになっている。腫瘍マ-カ-は3割の確率しかなく7割は表れないので注意
血液検査で肝機能GOT39・GPT33・r-GTP62 でしたが検査結果を説明していただきたい 問題がない数値である。数値が100以上になった時は要注意である。
術後胆石ができ2年経過したが大きさは変化はない。今後どのような事に注意すればいいか。 以前は胃がんの方は4人に一人の割合で胆石が出来たが、がんセンタ-では一割であるため早期がんのかたは残すようにしている。一生そのままの大きさでいる人もいる。胆石症の時はまず熱がでて黄疸の症状がでてくる
ピロリ菌について教えて欲しい 最近ピロリ菌の除去をお願いする人もいる。今年の総会での講演でもあったようにまだ研究段階であるが日本人40歳以上も人の7割くらいが陽性であり胃がんの患者さんはかならず菌がいるが手術をした後はいなくなる菌である。
(先生がピロリ菌とはなにかの問いに半数以上の方が知らないと挙手したのには驚いてしまった。つまり、ここでの半数以上の方は
今年の総会に参加していない方、つまり術後ほんとに浅い方が多いのかもしれない)
その他 抗がん剤の効果について(効いていないのではないかという不安) 医学的には抗がん剤を投与しがんが半分(5割)になって始めて効いたということで4割では効果がなかったというということであり今の抗がん剤で胃がんを抑制することはできても撲滅することは難しい
姉が肝臓がんで死亡、兄は前立腺がんで治療中、そして私は胃がん、これら病気は血縁・血筋または体質が作用するのか 多少は関係があるかもしれないがはっきりした事は解らない。ただ病気で亡くなる方の3人に一人はがんで亡くなっているのは現状である。
睡眠薬を使用しているが常用していると癖になるらしいが大丈夫でしょうか 薬の害はまったく無いとはいえないがその事で悩んで我慢するよりは飲んだほうがいいのではないか。今はいろんな種類の睡眠薬が発売されており朝早く目覚めない薬とか、目が覚めてから飲む薬など状況に応じた薬が発売されている。
自分は体調が良いので飲まなくなった病院からの胃腸薬を80歳の親がとても効くといって飲んでいるが問題はないか。 他の薬なら問題かもしれないが消化剤と整腸剤はいいのではないか
ホスピスについて アメリカでは病院内に協会があり患者さんのケアを行っているが日本では宗教の問題や信仰心などの問題があり今後の課題である。


3.栄養課に聞きたいこと
質問内容 回答
栄養
カロリI
サプリメントについて

術後牛乳が飲めなくなりヨ−グルトにしたが量が少なくカルシウム不足が心配である。
食事で不足がちの栄養素をサプリメントで補うのはよいか

胃を切除された方は食べ物からの栄養吸収が不十分になるので多いに飲んでもらいたい。いままではあまり奨励しなかったが少し反省しており特にビタミンB1、亜鉛、鉄などは不足気味になるためサプリメントで補ってほしい。
栄養を考えいろいろ食べると
コレステロ−ルが高くなってしまう。どのように調整したらよいのか
糖尿病で口寂しくビスケットを食べているが大丈夫か
糖尿病等他の病気なならない為に注意する点は
糖尿病の人はコレステロ−ル値が高くなるが血糖値の血液検査は空腹時で測定する。食事をした後は高くなるので参考にはならず空腹時の値が120以上ならば危ない。
術後から低コレステロ−ルになっておりコレステロ−ルをあげる食品(うなぎ、筋子、玉子など)などよく食べているが改善されないのでなにかよい食事方法はないか コレステロールの正常値は120〜220mg/dlであるが115位であれば
低くてもいいのではないか。
食べ方について 銃後8ヶ月です。検診で酒を飲まないでストレスを溜めるより飲んだほうがいいと言われた。しかし雑誌などでアルコ−ルを摂取するとNK細胞の働きが弱まり免疫力が低下する記事があったが晩酌程度の1合〜2合くらいでも免疫力が低下するのか
ビ−ルなどの炭酸飲料の解禁はいつ頃か(術後1年)
飲酒される量が問題でありついつい術後の不安から量を飲んでしまう方が多いらしく1合〜2合位ならいいのではないか。私(梨本先生)は術後2〜3ヶ月から適量なら飲んでいいと言っている。
他のアルコ−ルも適量ならいい。、
いか、たこは食べてよいのか
(術後1年)
漬物は食べてよいか(術後9ヶ月)
キムチなどの辛い物は食べてよいか(術後1年)
朝、昼、晩、他に間食を摂り(あんぱん、大福)一日6回食だが問題はないか。(術後1年)
術後1年を待ちわびております。
どの位経過したら普通の食事ができるのか。
どんな食品でも食べる量が問題であり最初は少しずつ摂り増やせばいい。この食品はよくこの食品は悪いと言うことではない。


4・他に不安に思うことについてはほとんど前の3項目に当てはまるためあえて紹介はしない

以上が主だった質問内容であるがその他で2〜3あるので紹介する

@ 胃がんの再発でよく解らないので先生に、今後どんな検査をしますか?と尋ねたら先生は何を検査するかは患者であるあなたからの申し出で検査をしますとのことです。再発防止に先生とお付き合いをよくするには、どうしたらよいか悩んでいます。先生、突き放さないでください。

A 患者は常に再発の不安を持っているので検査、特に最初の再検査の時の説明をよくしてほしいが患者が多すぎて、担当医が多忙すぎて無理な面がある。ある程度症状が一定したら近く病院に紹介するなどして、患者の軽減を計ってはいかがでしょうか。

梨本先生から胃の手術をされた方は下記の本の改訂版が出来たので(梨本先生も編集に携わっている)是非、購入して読んでもらいたい。今日の質問内容や回答がほとんど記載されており、参考になると思われる旨の話があった。尚、本の購入はがんセンタ−の売店で購入できる。
編 者
発行者
発行所
日本胃がん学会
川井 弘光
金原出版株式会社
〒113−8687東京都文京区湯島2−31ー14
電話 編集 03(3811)7162
    営業 03(3813)7184
FAX  03(3813)0288
http://www.so-net.ne.jp/medipro/kanehara 
 定価(本体1000円+税)


最後に総会での質疑応答では人数が多すぎて質問も広範囲になってしまう感が否めないが、このような分科会ならではの有意義な勉強会を開催して頂いた幹事の皆さんと多忙な時間をさいて出席していただいた先生や栄養課の方に感謝する次第である。今後もこのような勉強会を年2回ほどやってもらいたいと思うと同時に患者である我々も自分自身で勉強していかなければならないと思った第2回の勉強会であった。


尚、ここに記した内容は走り書きでメモした事であり医学的に間違っていたりする箇所が多々あるかもしれため専門的な事は先生に確認してください。


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