「恐怖!蛭地獄!
    運命やいかに!



2002、9、29。
たぶんこれが今期の渓流釣り修めになるだろう。
私は有終の日(有終の美)を飾るべく、蛭地獄の I 川 へ
車を走らせた。

メンバーは今回、私一人。
先日からの雨。
とにかく今日も、雲行きが怪しい。
この蛭渓谿に打って付けの天候で、どこまで釣りができるか心配だ。

いよいよ林道に入った。
両脇のススキ、雑草が、車を殴る。
買ったばかりだ、やめてほしい。

一番広い駐車スペースに車を止め、歩き出す。
この川最大の堰堤を越すとすぐに、道が無くなった。
足もとの川が削り落としたのだった。

かすかな踏み跡をたどる。
あった!アンコールワットが!
いや、ちがう!精錬所だ。

銅の精錬所跡。明治、大正は、
何かにかに付け、モダンでロマンに満ちている。


ここまで来るのも容易でない!
道はズタズタ!藪ボウボウ!
以前のような快適な道路は無くなった。
ここから15分で最終堰堤に、たどり着く。
沢を遡行して、いよいよゴルジュが待ち構える。

すると、首に「チクッ!」っと軽い痛み!
この痛みは!
痛みの所を指で触れる。
やはり、憑(つ)いている!
指で転がす様に取ると、そこにはやはり、
あの、憎っき「蛭」が吸い付いていた!

高巻の時やられたらしい。
覚悟はしていたものの、やはり気持ち悪い。
ゴルジュをぬけた辺りで、また首をやられた!
今日は、首しか露出していないせいだろうか?
A沢を越した時点で雨になった。
ここで、引き返そう。

A沢出合い。渓流は快適だ。


帰りに登山道を歩いてみた。
道の路肩は所々崩れて危険、引き返そうと道に目をやる。
落ち葉の上を、何か蠢(うごめ)いてる。
まるで、映画「ゾンビ」みたいな動きだ!
赤黒い、細い、なにかが!
何匹も!まるで絨毯の様に!

見る見るうちに私は蛭の中へ埋没して行った!




今年の釣り紀行は、これで終了いたしました。

また、来年を乞う御期待!



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