海上自衛隊 少年術科学校 第17期生徒 ホームページ 開設1周年記念
2002年9月2日
江田島仙人のスペシャル訓育
〜 修養の栞 〜
江田島仙人部落修養の栞1
「五省について」
五省は、昭和7年5月、当時の海軍兵学校長 松下元少将が創始したものであります。松下校長は、当時の世相に鑑みて、将来海軍将校となるべき兵学校生徒の修養に意を用い、日々の各自の行為を反省させて明日の修養に備えさせるために、五か条の反省事項を考え出し、これを日々生徒に実施させました。その方法は、毎晩、自習終了5分前になると、ラッパの合図を鳴らし、生徒は、それによって自習を止め、机の上を片付けて、瞑目心静かに座し、当番の生徒が勅諭五か条に続いて五省を発唱し、各自は黙唱して心の中で反省しました。
戦後、海軍は廃止され、海上自衛隊となり、諸兄の生徒時代には、海軍の良き伝統として五省を受け継ぎ、行っておりましたが、現在、当地で五省を実施しているのは、第1術科学校学生隊と幹部候補生学校であります。
五 省
一、至誠に悖るなかりしか
一、言行に恥ずるなかりしか
一、気力に缺くるなかりしか
一、努力に憾みなかりしか
一、不精に亘るなかりしか
勅諭五か条(現代用語使用)
一、軍人は忠節を尽くすを本分とすべし
一、軍人は礼儀を正しくすべし
一、軍人は武勇を尚ぶべし
一、軍人は信義を重んずべし
一、軍人は質素を旨とすべし
(明治15年1月4日詔勅)
江田島仙人部落修養の栞2
「生徒綱領について」
生徒綱領は、昭和53年6月、当時在学していた21、22、23、24期生徒総員の合意により、制定され、今日まで生徒自らの修養の柱とされてきました。五省のように、毎日発唱、黙唱はしておりませんが、海上自衛隊を担う生徒の人格形成に大きな影響を与えています。
生徒綱領
美しい自然と由緒ある江田島に学ぶ我々は、母校を愛し、生徒であることに誇りを持ち、より良い生活を築くため、今、総員の合意により、次のことを「生徒綱領」として定める。
一、 誠 実 我々生徒は、真心を持ち、信頼される人になろう。
一、 剛 健 我々生徒は、心身を鍛え、勇気ある人になろう。
一、 礼 節 我々生徒は、上級者を敬い、下級者を慈しむ人になろう。
(昭和53年6月12日制定)
江田島仙人部落修養の栞3
「日本人魂の堅持について」
五省、勅諭、生徒綱領のいずれも、その底に流れる精神は、誠心であります。
今日、民主主義の誤った解釈により、日本人の魂が失われつつあるのではないでしょうか。日本では、魂は、「こころ」、「いのち」、時として「まこと」にも通じる言葉で、倫理的な規範意識をもって、物事に結びつける精神のあり方を示す言葉であります。これまで、日本が国際社会から信頼されてきた一つの理由は、日本人が等しく、「誠実」「勤勉」という魂を備えていたからではないでしょうか。
最近、あらゆるものを金銭的価値に換算するとか、自己の権利や利益のみの主張に走るとか、人間の倫理観や責任感を徐々に喪失させ、無責任で利己的、自己中心的な人間が多くなっている傾向が伺えます。
日本人が、「誠実」「勤勉」「和」「倹約」「質素」と言ったような魂を堅持し、発揮しなければ、我々日本人が世界の人々から尊敬され、日本が世界の中で相応の地位を占めることができなくなります。
更に、美徳と言われます「正直」「清潔」「忍耐」「謙譲」「約束遵守」「規律遵守」等も多くの日本人に見られたものであり、誇りにすべき、この徳目も身に付けなければなりません。
それは、海軍以来の歴史と伝統が息づく、当地江田島で、日常茶飯事に言われ続けてきた「言い訳をするな」「ごまかすな」「泣き言を言うな」「他人のせいにするな」「行動に責任をとれ」「けじめをつけろ」「何事も一生懸命やれ」「自発的にやれ」「挙措容儀は常に端正であれ」等は、魂を具現化する躾でありました。
このように、何処の国でも、徳目としての国民精神があると思います。これが、ハンチントンの言う文明の衝突の結果を左右する主たる要件になるのではないでしょうか。
17期諸君、日本人の魂を堅持し、継承して有意義な人生を送ろうではありませんか。
まだまだ修行中の江田島仙人より
祝!17期HP一周年記念! 諸兄の素晴らしい同期精神発揮に心から敬意を表します。