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コラム「招き猫のできるまで」

坪源製品の製作手順を招き猫を例にとって紹介します

招き猫完成図

坪源の招き猫
 いったいどういう手順で出来上がるのかちょっと紹介しましょう。巷によくある招く猫は主に瀬戸物製ですね。でもこの猫は木製。木を削って形を整えて色を付けて仕上げして...と結構な数の工程を経てやっと出来上がります。(結構かわいいでしょう)たいていの木製小物は中国やインドネシアなどから輸入されて日本へきますが、坪源の招き猫は(デコイもそうですが)材料の時点から純国産、紛れもない日本製です。(作っている私が言っているのだから間違いない)おもに碁盤などに使われる桂をはじめとする天然無垢材を取り寄せ作ります。

材料

まずは木取りから...
まず柱状に製材された材料があります。ふだんは乾燥もかねて野外においてあります。フォークリフトを使いこれを木取り場へ運び込み、大きな丸鋸で必要な大きさに切りそろえます。

木取り済み

こんなふうになります
 この木取り作業において大事なことは、いかに歩どまりよく木取りができるかということです。木というものは生き物ですから、材料の中にはひびや傷、または虫食い痕などがあります。それら余分なところをうまく取り除いてきれいな部分だけを製品に使います。
 このへんのさじ加減が輸入品にはありません。「どうも中国製の小物はしっくりこない」と感じられている方。製品を作る前段階からの気配りの差がそのまま完成品の品質の差となってあらわれているからそのように感じるのです。

コッピングマシン

この機械は骨董品だ!
 たぶん戦後間もない頃の機械ではなかろうか。私が物心ついた頃にはもう坪源にあった。ドイツ製で、当時では画期的な木材荒削り用の機械だったそうです。
 こんなのまだ使っているんだよなあ....まあ昔の機械というのは構造が非常にシンプルにできているのであんまり故障しない。毎日きっちり油を差してあげないとすぐスネてしまうけれど....
 この機械に材料を一つずつ取り付けて大まかな形を作ります。

荒削り

これが荒削りのできた材料
 まだ招き猫だかなんだかわらない物体。
 ふふふ...じつはここからが私の腕の見せ所。

木取りから荒削りができたところで、招き猫の形状を作っていきます

レース

これで形を作ります
 これはいわゆるバフと呼ばれている機械です。原理は至ってシンプルで回転するサンドペーパーに材料を押しつけて形を削ります。一言で言ってしまえば簡単だがこれがなかなか熟練がいる仕事です。
 ちなみに私は中学生の頃から夏休みや冬休みなどになるとかならず手伝わされた。今もやってますけど、これからもずっとやっていくでしょう。

バフ盤

道具も手作りで
 この円盤状のものがくるくる回って木を削るのですが、これも手作り。ベニヤ板を何枚か重ねて丸く切り、そこに入れた切れ込みのところへくさびを使ってサンドペーパーをセットします。

バフがいっぱい

ずいぶんいっぱいありますが...
 サンドペーパーはその番号で切れ味が違います、たとえば60番のペーパーの方が100番のペーパーよりよく切れます。また同じ番号でもメーカーが違えば切れ味も違いますし、おろし立ての新しいペーパーの方が使い込んだ古いものよりよく切れます。
 ずいぶんたくさんのバフがあると思われるでしょうが、この大量なバフが大事なんです。このバフ一つ一つ微妙にサンドペーパーの番号が違います。このすべての切れ方を頭に入れておかないと次の作業ができません。

研磨

 写真を撮る関係でちょっと不自然な格好になってしまいましたが、だいたいこんな感じで形を作ります。ちょうど熟練の彫刻師が仕事場いっぱいにのみをならべ、それを彫刻する形状に合わせて使い分けているように、作りたい形状にもっとも適したバフを使いながら一つ一つ作っていきす。

形ができたよ

 ようやく磨き終わった物。何となく招き猫っぽくなってきました。
 そして...つぎも私の腕の見せ所。

アクリル絵の具で猫の顔を描いて、仕上げをします

筆と絵の具

絵付け
 いよいよ仕上げに入ります。絵付けにはアクリル絵の具を使っています。これは水で溶いて使うのですが、かわくと耐水性になるという非常にすぐれものの絵の具です。たしかトールペイントなんかもアクリル絵の具を使っているんじゃなかったかなあ?

絵付け

 さてここから招き猫のイメージで顔や手を描きます。あんまりリアルな猫だと描くのも大変なので適当にデザイン化をしてかわいらしさを出すことを心がけています。
 だんだん完成が近くなってきましたね。

完成

おお...招き猫だ!
 まだ目がはいってませんがほとんど完成です。あとは表面にウレタンコーティングを施します。
 ここまでの工程をほとんど私一人の手作りでやってますからもう大変...なればこそ自信を持ってみなさんにお売りできる招き猫ができるのです。これはカタログに載っているタイプの招き猫ですが、いろいろな種類の招き猫をこれから作っていきます。こうご期待!

たくさん招き猫

いっぱい並ぶと結構かわいい
 さあ、以上が招き猫のできるまでです。この招き猫は気に入ってもらえたでしょうか?
 もし気に入ってもらえたなら、ご注文ください。
 こんなオリジナル招き猫もあります。