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コラム「落選カモ敗者復活」

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1月16日NHK新潟「新潟発フレッシュ便」にて紹介されるカモのバードカービング
ビデオキャプチャーなんていう文明の利器がないので、画面を直撮り

去年になりますが「新潟県芸展」という公募展がありまして、出展しました

 つくった物は「マガモバードカービング」です。元々は「第二回新潟フェスタ」の会場で客寄せ実演絵付けをやるつもりだったのですが、当日のフェスタ会場は、客など寄せなくともお客が来るわ来るわで大騒ぎ。とても「腰掛けてじっくり実演」なんて言う雰囲気ではなかった。どちらかというと私は接客が苦手なので、それは社長に任せ自分は「一心不乱に絵付け実演」したかったのだが。ちょっと例えが古いが「実際にやるのは私です。こちらはしゃべっているだけです。コレでギャラは一緒です」の染之助、染太郎状態を狙っていた。そんなことも言ってられないので、恥ずかしい気持ちを棚に置き、私も大声で客寄せ。お客さんがたくさん来てくれると、こっちも楽しくなる。とても楽しい展示即売となった。

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気を取り直して絵付けをしよう

 さて、せっかくフェスタにあわせて形を作り、結局絵付けできなかったカモだが、このままではあまりにかわいそうだ。幸い仕事もあまり忙しくなかったので(最近いつもじゃ?ヤバ)ここはひとつ、めいっぱい絵付けに凝ってみようと奮起した。参考資料は...15〜6年前に買ったカモの剥製だ〜!!なんかこんなのばかりだな。カモは猟でいくらでもとれるし、料理を出してくれるお店もたくさんある位だから、剥製としてはかなり安い部類なのだ。はっきり言うと、自分の手間賃より剥製代の方が遙かにやすい(かなり昔とはいえ一万円ちょっとくらいか?)ひょっとして、いまいち私のバードカービングの売れ行きが悪い原因はこんな所にあったのかも知れない。もっと高そうな鳥作ろうよ(そういう問題じゃ絶対ない)
 一抱えもあるような実物大のカモっを小脇に抱え、下塗りを平筆でやったあとは一番小さな面相筆を使ってひたすら「ちまちまちまちま...」描き続けるのであった。羽根の一枚一枚を「ちまちまちま...」(もういいって)描いているときは気が付かなかったのだが、完成後数日経ってから見てみると我ながら「よくやるよコイツ」状態です。情念みなぎっているかのごとき絵付け。オフクロ曰く「あきれたよ」自分でもあきれたよ....それにしても細かい絵付けになってしまったものだ。

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あきれるくらいガンバッテ作ったのだから

 できた作品をより多くの人に見てもらいたいのは人情。というわけで「新潟県芸展」へ出展しました。そこでハタと悩んでしまった。コレは、このカモははたして何部門に出せばいいんだ?確かに本体は彫刻してあるから「彫刻部門」かもしれないが、どちらかというと今回のは絵付けの方にウエートが置かれている。「工芸作品」のような気もするが?うわっこまった。悩みだしたら訳が分からない。彫刻と工芸のどっちつかずの中間的作品だ。こんな時、出展経験の少ないのは困る。しかも経験豊富な知り合いがいるわけもない。仕方がない、今回は工芸部門に出展しよう。仕事でやっているバードカービングの技術を駆使しているんだし。そういった「職人技」的なものは、なんと言っても工芸だろう。
 そして搬入日。会場の受付で段ボールから取り出すと、受付係の方から「おお〜」っと感嘆の声が出る。...やった。こりゃ楽勝だな。えっへん。もう自分的には入選したものと思い、大船に乗ったつもりでいたのだが、転覆しちゃいました。
 結果「落選」...おいおい、じゃ搬入したときのあの驚きは?...褒め殺しか?(←古いよ)ま、落選したものはしょうがない。ちなみに審査員らしい人が、作品引き上げに際してアドバイスをしてくれた。「この作品は、彫刻部門へ持っていったら工芸持っていってくれといわれそうですね、工芸持ってきたら彫刻持っていってくれと....」だから、どうすればいいのよ?
 その日はたまたま娘を連れていった。カモ引き上げたら、とっとと帰るつもりだったのだが、会場周辺は絶好の散策コース。加えてその日は快晴。「外で遊ぼう、散歩しよう」とせがむ娘にしょうがねえなとは思いながら。「それもいいかな」とカモをそのまま小脇にかかえて、プラプラする。気持のいい日曜日の午後。次回は頑張るぞ...と、ファイトが沸くより「いやーのんびりするねえ、いい天気できもちがいいねえー」といった気分だった。ハングリー精神かけらもない。それはそれでよし。
 とまあ、ここで話はおしまいになるはずだったのだが、数ヶ月後に思わぬ「敗者復活戦」となった。実はNHK新潟が当社に取材に来た時「コレお借りしてもいいですか」とご指名されたのが、このカモだった。そりゃもう大歓迎です。どんどんお貸し致しますから、是非テレビに写してやってください。お願いしますよ。これでなんとかこのカモも報われるって事です。
(2003年1月17日)

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